桜が咲き始め、本格的に春の訪れを感じる季節となりました。
本日は、私達卒業生のためにこのような式典を催していただき、誠にありがとうございます。
成瀬記念講堂という、由緒ある場所で卒業式を開いて頂けたことを、大変嬉しく思います。
ご多忙のなか、ご臨席賜りました先生方、ご来賓の皆様に、卒業生一同、心より御礼申し上げます。
今振り返ると、あっと言う間のようであり、思い出が次から次へと溢れ出すような、中身の濃い4年間であったように思います。
4年前の私は「子どもに関する勉強がしたい」という漠然とした想いだけを抱き、本学に入学しました。保育や幼児教育についての知識が全くないなか、いざ授業が始まると、先生方が楽しそうに話される子どもたちのエピソードに吸い込まれ、講義のメモを取る手が止まらなかったことを覚えています。個性豊かな仲間たちと、教室で一緒に授業を受け、休み時間にはたわいもない会話で大笑いをする日々のなかで、友達との絆を深めていくことができました。
児童学科には「子どもを観察し、子どもから学ぶ」という教育方針があります。1・2年次は、フィールドワーク演習のように、実際に現場に行き、目で見て体験することで、理論と実践の両方から、子どもを理解する力を身に付けていくことができました。
また、多くの仲間と共にスウェーデン短期研修に参加し、現地の教育機関を実際に訪問したことで、国際的な視野を広げることができたと思います。この研修で刺激を受け、現在、スウェーデンに留学している友人もいます。私は、研修で得た学びを活かし、4年次に、スウェーデン文化を多くの人に伝えるためのイベントである「ウプサラウィーク」の企画・運営に携わりました。実際に目で見て体験したことが、次の学びへと繋がっていく、こうした“学びの継続“の大切さを、本学での生活から実感することができました。
そんな私達の大学生活は、新型コロナウイルス感染症の流行により、3年次から大きく変化しました。実践的な学びを得られる機会が減り、一人でパソコンに向かって授業を受ける日々に、ここにいる誰もが不安や悩みを抱いたはずです。当たり前の日常がどれほど貴重なものであったのか、改めてそう感じた人が多いのではないでしょうか。
しかし、どんなに困難な環境においても、1・2年次に絆を深めた「友達」という存在は、私にとって大きな支えとなりました。たとえ離れていても、互いを意識し、助け合うことで、私達を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、乗り越えていくことができたのだろうと思います。「今の状況ではできないから、やらない」のではなく「今の状況で、できることを探す」という物事の考え方も、友達との関わりのなかから学びました。
このことは、本学の核となる三綱領の1つ「共同奉仕」の精神にも繋がります。個々に己を磨くことは大切ですが、互いに助け合うことで、人はさらなる成長を遂げることができます。コロナ禍での学生生活を乗り越えた私達は、各専門分野のみならず、社会で生き抜く力の基礎を学ぶことができました。
本学でこのような経験を積み重ねた私達は、本日卒業し、それぞれ新たな道に進んでいきます。今、世界に目を向けると、困難な状況に陥っている人々がたくさんいます。安心・安全な環境で育つことのできない子どもたちがいるという現実に、決して目を背けてはいけません。4年間で得た様々な知識や経験を社会に活かし、ここにいる卒業生一同「新しい明日を共に創っていきたい」と思います。
最後になりましたが、いつも前向きな言葉を掛けてご指導くださった先生方、学生生活を様々な形で支援してくださった職員の皆様、支えてくれた家族や友人、全ての方々に心より御礼申し上げます。
日本女子大学のさらなる発展と、皆様のご健康をお祈り申し上げ、答辞とさせて頂きます。