建築
えられることの
すべてを。

建築デザイン学部

―建築デザイン学部開設記念対談[基調講演]―
運営に特化したビジネスモデルへの転換が
成長のきっかけに
施主と建築家が建築の影響をとことん
議論することが重要

―建築デザイン学部開設記念対談[対談]―
こだわりは「日本に合うデザインとスタイル」
「星のや竹富島」はセオリーを覆す集客力
を発揮
都市型の日本旅館として挑んだ「星のや東京」
利恵さんが言うなら信じるしかない
フラットな関係性のもと“共通言語”を
紡いでいく

2024年10月20日(日)、日本女子大学の成瀬記念講堂にて「建築デザイン学部開設記念対談」が開催されました。「建築デザインへの期待」をテーマに前・後半のプログラムに分かれ、前半の基調講演では、星野リゾートの代表・星野佳路氏より、同社のビジネスモデルやホテル運営のポイントをご紹介いただきました。後半は、同社の建築デザインを数多く手がけてきた建築デザイン学部特別招聘教授・東利恵先生と星野氏との対談が行われ、建築やデザインがホテル運営に果たす役割や、施主と建築家のパートナーシップなどについて語り合っていただきました。

建築デザイン学部

特別招聘教授 東利恵

日本女子大学家政学部住居学科卒業後、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了、コーネル大学建築学科大学院修了。東 環境・建築研究所代表取締役。「星のや」をはじめとする宿泊施設のほか、個人住宅や集合住宅、商業施設など幅広く手がける。主な作品に「星のや軽井沢」「星のや富士」「星のや東京」「星のやバリ」「星野温泉 トンボの湯」「ハルニレテラス」など。主な出版物に『「塔の家」白書』(共著、住まいの図書館出版局)、『収納のデザインと工夫』(共著、彰国社)などがある。

星野リゾート

代表 星野 佳路

1983年慶應義塾大学経済学部卒業後、1986年アメリカ・コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。1991年に家業である地元・軽井沢の星野温泉旅館を引き継いで社長に就任し、1995年に株式会社星野リゾートに商号変更。2005年には星野温泉旅館を建て替えて「星のや軽井沢」を開業し、2011年には「界」と「リゾナーレ」ブランドがスタート。現在は「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に、全国各地でリゾート施設を展開中。

建築デザイン学部開設記念対談
[基調講演]

運営に特化した
ビジネスモデルへの
転換が成長のきっかけに

星野リゾートは、1914年に軽井沢の温泉旅館として曾祖父が創業したことが始まりです。その後、温泉旅館からホテルに変わり、私は1991年に父親から事業を引き継ぎました。ただ、当時はバブル経済の崩壊から間もない頃。バブル期には国内全体で客室数が供給過剰に陥り、新たな宿泊施設を建てて所有と運営の両方を行うには大きなリスクが伴う時期でした。そこで当社が打ち出したのが、運営に特化する戦略です。今でこそ外資系のホテルが日本国内で運営に特化した事業を展開していますが、当時としてはとても大きな決断でした。

現在は私が統括する星野リゾートで約70施設を運営しているほか、施設の所有権を管理する投資法人もあることが、当社のビジネスモデルの特徴です。これによって新規プロジェクトに挑戦しやすくなり、開業して利益が出始めたらオーナー企業などに所有権を移すことで、運営会社としてのリスクを低減させられるのです。

施主と建築家が建築の
影響をとことん議論する
ことが重要

一方で私が重視したのは、既存施設の再開発です。そのために当時、利恵さんの建築家のお父様も一緒に四国の和泉屋石材にも行きましたし、利恵さんとは1993年頃から一緒に仕事をさせていただくようになり、利恵さんとも“共通言語”をつくるために視察を繰り返しました。他社の旅館にお邪魔して、清掃時間中に露天風呂を見学させてもらいながら議論したこともあれば、銀閣寺につながる“歩道”が特徴的だと聞いて実際に足を運び、目的地に着くまでの通路の大切さを議論したこともありました。イタリアを訪れ、古い街並みの通路幅を計測したこともありますし、アイスランドやスウェーデン、タイなどにも視察で訪れました。

私たちと建築家との間では、どのような建築が施設のコンセプトや実現させたい内容に重要であるかが議論のポイントになります。とはいえ、私たちは建築を勉強してきたわけではありませんので、ある意味で建築家に依存するのですが、「この予算で建ててほしい」と発注し、「はい、わかりました」と返されるだけでは、むしろ不安になります。一方通行ではなく、「その予算では、ここまでしかできないが、ここまでやるべきだ」もしくは「やるべきではない」といった議論を重ねることの重要性を、建築を学ぶ学生のみなさんにも理解してほしいと思います。

建築デザイン学部開設記念対談
[対談]

建築デザイン学部開設記念対談
[質疑応答]

学生より

大阪の西成に「OMO7 大阪」を
つくった意図や経緯を教えてください。

附属高校 保護者より

宿泊客の声をもとにデザインなどを
見直して
変更した例があれば
教えてください。

学生より

就職してビジネススキルを磨くか、
大学院で
建築の専門性を高めるか
迷っています。

建築デザイン学部開設記念対談[基調講演]
建築デザイン学部開設記念対談[対談]
建築デザイン学部開設記念対談[質疑応答]
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