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理想は「犬のおまわりさん」
地域福祉を通じて社会の課題解決に貢献できる人を育てています。

地域福祉は「チームで取り組むこと」が重要テーマ。

私の専門は地域福祉です。地域で生きづらさを抱えている人たち、およびその周辺にいる地域住民のサポートを目的に、さまざまな活動を行っています。多様な人々との共生社会をめざすためには、地域全体としてチームで取り組むことが重要です。地域福祉の現場は「多世代」であることがほとんどですが、多くの福祉活動は「児童」や「高齢者」などと縦割りになりがちです。実際に地域の現場を見ると、もちろん世代だけでなく、さまざまな事情を抱える人が複雑に絡み合って存在していることがわかります。こんな状況に、専門家がそれぞれに行動するだけでは部分的な解決しかできません。地域全体としてよい方向に進めるためには、専門家同士がつながる、さらには地域住民と一緒になって考え、行動していく……そんなチームとしての活動が必要です。そしてその中心的存在となる「コーディネーター」を育てていくのが、私をはじめ社会福祉学科の役割だと考えています。
また地域福祉の活動では、最終的には介入者である私たちが抜けても継続できる仕組みや場をつくることも強く意識しています。それこそSDGsではないですが、持続可能性の追求は地域福祉の重要な要素のひとつです。

現場に出た学生は、目がパッと輝く!

学生は理論と実践の大きく2つのアプローチで福祉を学ぶのですが、後者についてはきっかけを提供することを大切にしています。たとえば、「新宿ごはんぷらす」という生活困窮者のための炊き出し(コロナ禍ではお弁当配布)への参加を授業で呼びかけたり、西生田キャンパスにいた頃は、近隣の団地で住民同士の多世代交流を目的としたカフェやハロウィンパレードなどを、ゼミ生とともに実施したりしてきました。
現場に出ることの最大のメリットは「意識の変化」です。社会福祉学科には、傾聴や議論がきちんとできる「福祉の素養のある学生」が多いのですが、行動力や自信といった面で一歩引いてしまうような傾向にある学生もいます。だからこそ、最初は活動への参加を授業の課題にするなど、少し強引にでも学生の背中を押してあげることが多いですね。初めて現場を体験した学生のほとんどが、そこで目をパッと輝かせるわけです。「また活動に参加したい」「今度はこれをやってみたい」など、前向きな声が次から次に聞こえてくるようになります。もとより学生は「自分なんて役に立たない」と思い込みすぎだと思います。お弁当を配るだけ、子どもの遊び相手をするだけでも、ものすごく喜ばれます。「自分は人の役に立てる存在である」とあらためて認識し、人と接することでどんな思いを持つのかをたくさん経験することが、福祉の学びにおいては非常に重要なのです。

生活困窮者のための炊き出し​

多世代交流を目的としたハロウィーンイベント

日本の地域福祉は、世界に誇れるものです。

地域福祉についての現地調査や意見交換のため、フランスや北欧諸国など海外に出向いたことが何度かあります。そのたびに感じたのは、日本はすでに素晴らしい地域福祉を展開しているという事実です。近年、世界的にはWHOが提唱する「エイジフレンドリーシティ」という高齢者にやさしいまちづくりのプロジェクトが浸透してきており、海外でもよく話題になります。一方、日本には「地域包括ケアシステム(高齢者が住み慣れた地域で住み続けられるような体制を地域でとること)」があり、加えて私たちが介護のための場づくりなどに日常的に取り組んでいることを伝えると、毎回決まって「日本はすごいね!」と驚かれるのです。
特に北欧などは福祉先進国のイメージが強く、日本が劣っている気がする人も多いと思います。ただ、私が聞いた限りでは、現地で行われている地域福祉活動はほとんど日本でも行われており「劣っているなんて大間違いだ」と言い切れます。今度ゼミ生が2人デンマークに留学するのですが、彼女たちには「現地のよさを学ぶだけでなく、日本のよさも伝えてきて」と話しました。日本の地域福祉は世界的にも先端を行くものであり、世界に誇れる活動なのです。

SDGsが始まるずっと前から、SDGsをしていました。

SDGsは昨今の世界的なトレンドですし、福祉は特にSDGsとの親和性が強い分野なので、当然学生の関心も高まっています。前述の話でいえば、生活困窮者のための炊き出しは「貧困をなくす」こと、地域包括ケアシステムに関わる活動は「住み続けられるまちづくり」へと直結します。私たちの学び全体としても、ほぼすべてがSDGsに関連しているのです。つまり、SDGsが叫ばれるずっと前からSDGsをしてきたのが、私たち社会福祉学科と言っても過言ではありません。しかも、先の海外の話にもあったように、世界に誇れるほどの福祉が日本にはあります。ここでの学びや活動は、社会から、世界から求められていることなのだと、学生には自信を深めてもらいたいです。
これまではあたり前すぎてどこか気恥ずかしく、学科内で「SDGs」という言葉の使用を控えていました。ただ、今はもう多くの人の共通ワードとして浸透しています。地域福祉の中心的役割を担う私たちは、これからは積極的にSDGsを発信していくことで、学生には行政や企業など多くの人に地域福祉参加を呼びかけていってほしいですね。

福祉は「犬のおまわりさん」のように、寄り添い続けることが大切。

これを読まれている方が高校生だとしたら、医療系と福祉系のどちらに進学するか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。実は私は、高校生の頃は地域医療に興味を持っており、医学系への進学を考えていた時期もありました。調べていくうちに地域医療には多職種連携によるチームでの取り組みが重要であると知り、福祉の道も検討するようになったのです。医療と福祉の違いは、医療は病気にアプローチして即時的に解決をめざすもの、福祉はその人の人生を支えるようにして、長期的に行動や気持ちまでをもケアしていくもの、という結論に至りました。結果、私には福祉が合っていると感じたのです。
私は最近、「がん哲学外来カフェ」という、病気の方やその家族、医療や福祉の従事者や学生、近隣住民など誰もが集える場づくりの活動に参加しています。その提唱者である樋野興夫先生は、生きづらさを抱える人に寄り添うことを童謡「犬のおまわりさん」にたとえて説明しています。こねこちゃんにいろいろと聞くも解決できず、自分もワンワンと泣いてしまう。2番では、からすやすずめにも聞いてみるも、やはり前に進まない……一見「犬のおまわりさん」は何の役にも立っていないように感じます。しかし、きちんとこねこちゃんの気持ちに寄り添っています。これこそが、福祉における最も基本的かつ大切な心構えといえます。誰かの立場に立って物事を考えていく……この姿勢はまさにSDGsの理念と通じています。再三お伝えしているように、SDGsは福祉と共通点が多く、SDGsを考えることは福祉を考えることであり、逆もしかりです。この2つを行ったり来たりして学ぶことで、福祉をより深められるのではないかと思います。

主なSDGsへの取り組み

  • 1.貧困をなくそう

    炊き出しなど地域福祉による生活困窮者の支援活動

  • 2.飢餓をゼロに

    生活困窮者のための炊き出し(コロナ禍ではお弁当配布)や、こども食堂などの活動

  • 3.すべての人に健康と福祉を

    ピンポイントのサポートでなく、医療関係者や行政、学校関係者などと連携した地域全体での福祉活動

  • 11.住み続けられるまちづくりを

    団地住民同士の多世代交流を目的としたカフェやハロウィンパレードなどの企画・実施といった、地域住民の持続的な生活環境を守る活動

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