『多くの「出会い」を大切に』
(株式会社集英社・家政学部被服学科2021年卒)
本格的な夏を迎えようとしていた7 月末、中高時代からの「憧れ」を胸に活躍される笹山さんにお会いしました。編集というお忙しい仕事の合間を縫って、被服学科での経験やエディターというお仕事についてたくさんお話をしていただきました。
本格的な夏を迎えようとしていた7 月末、中高時代からの「憧れ」を胸に活躍される笹山さんにお会いしました。編集というお忙しい仕事の合間を縫って、被服学科での経験やエディターというお仕事についてたくさんお話をしていただきました。
大学から本学で学び、2021年3月に家政学部被服学科を卒業したのち、同年4月に株式会社集英社に入社。モードマガジン「SPUR」の編集部でエディターとして活躍中。
中高時代、私は背が高いのがコンプレックスだったのですが、自分よりも身長の高いモデルの方が堂々とランウェイを歩く姿を見る機会があり、モードファッションに興味を持ち始めました。また、同時期に映画「プラダを着た悪魔」(’06)を観て、シビアな世界でもモードという鎧をまとって逞しく生きるエディターの姿に影響を受けました。その後、身体が硬直するほど衝撃を受けたファッション写真との出合いや、雑誌のインタビュー記事を読んで価値観が大きく変化した経験を通して、編集者への憧れを強く持つようになりました。夢を叶えるために当初は服飾の専門学校に行くことも検討しました。ですが、家政学部被服学科では服飾だけでなく別の視点からもさまざまなことが学べるところが魅力的だったため、日本女子大学への入学を決めました。
大学での一番の思い出は、被服学科の有志が目白祭で行っているファッションショーです。最終学年時には、発表する衣装の制作を行いながら、代表としてショーの構成や広報を取りまとめました。また、早稲田大学の繊維研究会という服飾関連のサークルに所属し、他大学の服好きの学生ともファッションショーを行っていました。学科の講義はクリエイティブなものばかりではありませんでしたが、やりたいと思えばチャレンジさせてもらえる環境があり、全力で取り組むことができました。4年間を通じ、とにかく逆算して物事を考え、つねに夢に近づくためにはどのような経験を積む必要があるのかを考えていました。
笹山さんが学生時代にファッションショーに向けてデザインした衣装
ギリギリまで迷っていた卒業論文のテーマは、偶然足を運んだメゾン マルジェラの展示がきっかけとなり、決定しました。その展示では、クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノが手掛ける、あまりにも創大でドラマティック、そして精巧な衣服の数々が展示されていました。会場内に置いてあった雑誌には、デザインに込められたガリアーノの哲学や思いが書き綴られており、読めば読むほど「これはアートだ」と思うように。もともと「ファストファッション」として軽んじられ、消費される衣服に違和感を持っていたため「ファッションとアート」をテーマに、モードやオートクチュールの真価を突き詰めたいと思いました。展示会で偶然、卒業論文の題材を見つけた経験から、好奇心を持って積極的にさまざまな所に足を運んだ先に、思いがけない出会いは待っていると学びました。
中高時代から憧れていたファッションのジャンルは「モード」です。「モード」は難しいイメージを持たれがちですが、そのイメージを払拭し、広く魅力を伝えるために編集者として仕事をしています。雑誌の編集をするうえで、プロのクリエイターの方々と一緒にお仕事をすることはとても楽しいのですが、つねに俯瞰的に物事を判断し、現場を取りまとめることの難しさを日々感じています。
また、今はとてもセンシティブな時代であり、人によって言葉の捉え方が異なるため、言葉の選び方や使い方ひとつとっても細心の注意を払わなければなりません。ファッションの魅力をいかに言語化し、分かりやすく伝えられるかを模索する毎日です。いち早く最新のお洋服を見ることができたり、デザイナーやPRの方から服に込めた思いやこだわりを直接聞くことができるのは、服好きにとってはこの上なく刺激的で楽しい。ですが、それをより多くの人に伝えるべく、常にアイデアが求められる仕事でもあります。
笹山さんが手がけた誌面。コンテ制作などはタブレットを活用している
日本女子大学は、学生の好奇心を刺激する環境が整っている教育機関であると感じています。大学生は社会人と比べて自由に使える時間がたくさんあります。学生時代に、自分は何が好きなのか、何に興味があるのかを見つめ直し、深めていくことで自分らしい人生を歩めるのではないかと思います。また、情報が溢れるこの社会を生き抜いていくために、受け身ではなく、自分の意志を持って行動することが何よりも大切ではないでしょうか。
インタビューで笹山さんのファッションに対する熱い思いをお聞きし、何かに熱中して それを仕事にする姿に大きな憧れを抱きました。私は、今回のインタビューで「知らない」 を知ることの面白さに気が付くことができました。これからはさまざまな分野にアンテナを張り、吸収していきたいと思います。
(JWU PR アンバサダー/家政学部 家政経済学科1年 上野 真穂)